溺愛男子


「口癖は『面倒』だろ?」


 …そうだな。





 だけど、今後ろにいて俺のシャツを少し握っている杏里はなぜか放っていけない。





「…ま、いいや~♪」

「わりぃな。用事はこいつの家探しだから…」

「おう! また月曜日なー」



 手を振ってスキップしながら帰っていった雪。




 後ろにいた杏里のほうを見る。




 不思議そうな顔で俺を見てる杏里は案外小さかった。




「なんて言うマンション?」

「アパートだよ。山野荘」

「あー…知ってる」



 こっちと言いながら杏里の手を掴んで進む。




「あそこって結構ボロい…よな?」

「うん。予算ないし」

「そっか…」




 着いたけど…予想以上にボロい。




 安全性にもかけてるし、不用心そうだ。





 大家の部屋に尋ねると結構歳のいったおじいさんが出てきて予備鍵をくれた。