溺愛男子


 俺が次々に杏の口にオムライスを突っ込んで行くから、杏は何かを喋りたそうなのに喋れない。




 その姿がなんか可愛くて、飽きずに全部突っ込んで行く。




「くくくッ…」

「ん゛―――」

「上手い?」

「ん…」



 口をパンパンに膨らませて必死に頷く杏。




 全部突っ込み終わった俺はスプーンを置いてコップを渡した。




 水を流し込んで杏が涙目でこっちを見る。





「…あぁ…死ぬかと思った」

「不味くて?」

「いや、おいしかったけど!」



 意外にも俺のオムライスは好評らしい。




 コップを置いた杏はもう元カノの話は持ち出してこなかった。




 皿を片づけてくれた杏は手を拭きながらもう一度こっちに来た。