溺愛男子


「とりあえずここから離れよう」


 私の頭の上にそっと手を置くと微笑んだ。




 …怖い。





「杏里と一緒に飛び下りれば平気だよ」



 たぶん工藤さんが壊したであろう鉄格子のない窓を開けると私の腕を引く。





 まさか……





「ここ、2階だから大丈夫だよ。ケガしても俺が看病してあげるね」

「…い、いや!!! 離して!!!!」

「ここに残るつもり? ここには杏里のストーカーがいるんだよ?」



 ぐいぐいと私の腕を引く。



 少しずつ少しずつ窓の方に引き寄せられていく。





「あ、杏!!! 返事しろ!!」

「…琉ッ!!!」




 大きな声で琉を呼ぶ。



「名前を呼ぶ相手を間違えてるよ? 杏里は『聡志』って呼ぶんだ」

「…やめて!!」