溺愛男子


「じゃ、頑張れよ」

「うん。先に帰っててもいいよ?」

「待ってる」

 琉がお店のどこかに消えて行くと先輩がちょこちょこっと近づいてきた。




「あれ、彼氏?」

「違いますよ!!」

「うっそ~? ていうかすっごいイケメン!!」



 きゃーっと言いながら私の肩をばしばし叩く先輩。




「杏里」

「「え…?」」



 カウンターの向こうから名前を呼ばれて振り返ると…工藤さん。



「あ、すいません…」


 工藤さんが持ってきたコーヒーとガムをレジに無言で通す。




「…今、大学終わってね。この後時間ある?」

「今日は…すいません」

「…『今日は』じゃないでしょ。『今日も』だよね」

「…」




 もともと工藤さんのために時間を作る気なんてないもん。



 なんかこの人、読めなくて怖い。




「俺はこんなに杏里のことが好きなのに―――…」

「……」