溺愛男子


 せっかく杏とキスしたのに…。




 台無しじゃねぇか。




 杏のほうが柔らかかった。





 おじさんたちが帰って家に上がると親父が暇そうに雑誌を読んでる。





「…親父」

「んー?」



 母さんはどこに行ったか知らないがリビングにはいなかった。



 隣に座って親父のほうを見る。




「大切な奴を傷つけられたらどうする?」

「…潰す」

「だろーな…」




 親父はたぶんそうする。





 俺も血が繋がってるわけであって、潰してやりてぇ。




 あの女たちも杏の元カレも。




「潰せばいいじゃん」

「あいつが望んでねぇの」

「……俺が気に入らなきゃ潰すけど」




 そう言って少しだけ笑った親父は雑誌を閉じて冷蔵庫から水を出す。