溺愛男子


「…さっさと見つかって…また元の生活に……」



 完全におかしくなってる。




 意味のわからない言葉を発して、俯いたまま。




「杏里」

「…今度は殺されるか「杏里ッ!」




 俺は杏里には出したこともないような声で名前を呼んだ。





 すると反応してピクッと動く。





「杏里、大丈夫だから……みんな杏里の味方だから」

「…知ってるよ、琉…。私が悪いの」

「お前は何も悪くねぇから」

「…さっきの人たちにいわれた通りかもしれない。嫌われたくなくて…いい子ぶってたんだよ…」



 そんなことないのに…。





 杏里は自分を責めるばかりで、どんどん暗い顔になって行く。




 顔を覗きこんで様子を伺っても悲しい顔のまま。





「杏里、とりあえずもう授業は終わりだから帰ろう?」




 杏里を立たせて、体育館を出る。





 …頬は涙だらけで目も赤くなってる。