翠ってマジで言いたいんだけど、いつも口からさんも付いて出るからそう呼ぶよ。

翠さんとこっそり付き合いだしてから、気付いた事がある。


翠さんは照れ屋だ。


ほら、今日だって・・・・


「何ですか?これ」


人気のない階段で押し付けてきた紙袋。


「いいからお昼にでも見てみて?」

「だから何?」


隠してる様子の翠さんに近づいて聞く。


「・・・翠さん?」

「ちょっ・・・」


頬に触れて――

耳に触れて――。

温かい・・・翠さんの肌。


「っ!こんなんじゃ言えないわっ!」


また逆ギレが始まった。
翠さんって年下ダメって言ってたくせに、俺より子供っぽい時がある。

まぁ、そんな時もたまらなく可愛いんだけど。


「じゃ、しないから言って?」

「・・・・・お・・・お弁当」


は?お・・・おべんとー?


「元村君?」


首を傾げてる翠さん。

ヤベッ可愛い・・・。

弁当マジで嬉しい、スゲー嬉しい。
俺どうしよう!!!!!!


「・・・翠さん」

「元村君、顔真っ赤だからちょっと時間潰して戻った方がいいわ」


マジで!?!?!?!?

今日は無理だわ。
照れ屋はお互い様かもしれないな。