総合病院に着き、エレベーター
に乗った。
【閉】のボタンを押そうとした時だった。
「ｯあ、乗ります!!」
透き通るような綺麗な声がした。
一瞬聞き入ってしまったが、
すぐに声のした方へ視線をやった。
……!!
正直びっくりして、【閉】を
押しそうになった。
そこには、さっきの綺麗な声の
持ち主とは思えないような、
どっちかといえば可愛いらしい
雰囲気の女性が車椅子に乗って
一生懸命こっちに向かっていた。
髪は肩に少しつくくらいで、
緩いパーマがかかった薄茶色。
触れてみたくなるような
柔らかい髪だと思った。
そんなことを思っていると、
エレベーターの前にきたようで
「ごめんなさい、すいません。」
と謝りながら乗ったきて、
ｸﾙｯと向きを変えてドアが閉まるのを
待っているようだった。
『何階ですか？』
とりあえず冷静になり、聞いてみた。
「ｯあ、3階です。」
と言いながら、ﾆｺｯと笑い
顔を向けてきた。
ｷｭｰｳｯと胸がモヤモヤするのを
感じ、ｼﾞｰｯとつい見惚れていると、
我に返りボタンを押した。
