「夢斗」

夢帆の声で、我に返った。


「すみません。なんですか?」


「どうかしたの?」


「昔を少し、思い出していました」



・・・

私の顔を、優しい眼差しで見つめる夢帆。



聖夜、お前をこんなに、

悲しく、辛い思いをしたんだろうな。



「夢斗、お別れのキスをしてくれる?」



夢帆の言葉に、

私は夢帆の柔らかな顔を、

両手で包んだ。