「……皆、浩太のコト見ながら、台本確認してたよ」

「そうなの!?」


俺は信じられなかった。
雄一がまた溜め息を吐く。


「ココなんて……」

「うん?」

「…いや、良いや」


何だよ、雄一の奴。
途中まで言いかけたのに止めるなんて。


「雄一、俺はさぁ」

「何?」

「人の顔見て喋れるほど、俺自身のゆとりが無いんだよ」

「ゆとり?」

「うん。人の顔見て話すと、話す内容が分かんなくなる訳」

「…そうか」


ちょうど運ばれてきたラーメンを、二人で黙々と食べた。

その後に雄一が教えてくれた日本史の方が、俺にとっては会話の内容より大事だった。




文化祭まで、あと1ヶ月。





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