俺は次に、一人の女子の名前を探した。
秋村心美(アキムラ ココミ)ーーココ。一学年下の後輩で、実は俺は彼女が好きだ。
……誰にも言ってないけど。

ココは二年女子では唯一の裏方で、担当はスポットライトだった。
……つまりは、在る意味では俺の部下。

…もしかして……?


「じゃあ、これから発声練習して。それから役に合わせて、実際に動こうか」


部長ーー金沢雄一(カナザワ ユウイチ)の号令に合わせて、俺達は立ち上がって輪になった。


「あー、えー、いー、うー、えー、おー、あー、おー」


雄一の発声に、他の全員が続く。


「あー、えー、いー、うー、えー、おー、あー、おー」


俺は、この発声練習が好きだ。
大声を出す事でストレス発散にもなるし、言葉では伝えられない想いも届けられる気がするから。

ただ、全員がそうとは限らないみたいだけど。





.