それが迂闊だった。
近所でも有名な不良高校が、図書館の近くにあった事を、俺は忘れていた。

 
次の角を右に曲がればラーメン屋。
角の手前のコンビニで、学ランを着て金髪リーゼントの、煙草を吸った三人組と目が合ってしまった。

……ってか、今日日リーゼントってどうなの?
古いって。


「よぉ兄ちゃん。何か用か?」

「はい?」


目が合ったのは俺の方だったのに、何故か雪が返事をする。
マズい方向に転がっていそうな気ぃする。


「あぁん? 何か用かって聞いてるんだよ。質問には答えろや」

「雪、行こう」

「宏樹、良いの?」


雪の質問が致命的だった。
三人組の一人が、俺の顔を覗き込んでくる。


「……ひょっとして、二中の宏樹じゃね?」


……この野郎、俺の評判を覚えていたか。


「…宏樹、この人達と知り合い?」

「直接の知り合いじゃねぇんだけど、何故か俺のコト知ってるみたいだね」





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