「おい! 泣いてただけじゃ、状況が分からないだろ? 何があったんだ?」
俺は顔を見せないまま泣いている美雪が心配で、両肩に手を置いて体をグイッと持ち上げ、顔を覗こうとした。
すると美雪はまるで気持ちを落ち着かせるかのように、数回深呼吸をしてから顔を上げた。
ああ、もう!
目、真っ赤じゃねーかよ!
ちょっと落ち着いて泣き止んだと思っていた美雪が、俺と目が合って数秒経っただけで、再び泣き出した。
「美雪!?」
俺はちょっと驚いて名前を呼んでみたけど、美雪の表情は『悲しい』とか『辛い』と言う感じではなく、なんとなく気が抜けて安堵しているような感じがした。
さっぱり状況が分からない。

