「俺が卒業したら遠くへ行くんで、美雪、淋しがってくれて」 イラッとした。 つい右手で胸ぐらを掴みそうになり、微かに残っている理性を総動員して、左手で右手の暴走を抑え込んだ。 分かっている。 美雪は僚二を失ってから、身近な人間が離れて行くのに敏感なんだ。 ましてや章弘は自分の兄貴の親友で、中学時代からの先輩後輩の仲だ。 そりゃぁ、淋しがるだろう。 だけど。