よしっ! 私は耳から手を離して立ち上がった。 「すみませんでした、取り乱してしまって」 私は先輩の顔をちゃんと見て、そう言った。 先輩はちょっと苦笑いをしていた。 ああ、私、やっぱり好きだなぁ、先輩の事。 しみじみ思う。 なのに。 「なんで先輩の好きな人は、私じゃないんだろう」 気が付けば、心の声が口からポロッと零れ落ちていた。