「そう? じゃぁ……渡したい物、って?」 ドキン! そう言った先輩の視線は、私の肩掛けしていたバッグに向いていた。 先延ばしにしても、結果は同じなんだから……覚悟を決めよう! 私は手が震えるのを感じながら、バッグからラッピングしたチョコを取り出した。 いつもは義理チョコだったけど……初めての本命チョコ。 よしっ! 「あの、これ! バレンタインのチョコです! 受け取って下さい!」 私は心の中で気合を入れてから、先輩へ差し出した。