抱き締めて俺の腕の中に閉じ込めてしまいたくなる。

その髪に、額に、目に、頬に……そして、唇に……キスの雨を降らせたくなる。



だけど、出来ない。



『立場上』ってだけでなく、美雪の気持ちがそこまで追い着いていないのが分かるから……。



今の美雪は、優しく唇に触れるだけのキスで、お互いの存在を確認できて安心なんだと思う。

美雪がそうだから、俺の本能が暴走せずに済んでいるんだ。



それでも俺は美雪が傍に居る事を感じたくて、ただ温もりを確かめたくて……こうして美雪の体に、腕を回してしまうんだ。