「『これは』、何?」
ちょっと照れてる美雪が可愛くて、つい意地悪してしまう。
「なんでもいいでしょ? いらないなら、私が食べちゃうよ?」
美雪は拗ねたように頬を膨らませた。
意地になる訳じゃないけど……拗ねたいのはこっちの方だぞ?
「なんでもいいわけないだろ?」
誰にも言えないんだから仕方ないのは分かっているけど……何が悲しくて、自分の彼女が他の男にチョコ配っているのを、目の前で見なくちゃいけないんだよ?
しかも、配られた男子数人は……明らかに美雪に気がある、って分かってんだよ。
もうそれは同じ女に惚れてる男の勘。
だけど、美雪にはそんな事、教えてやんない。
教えてやったところで、『涼の考えすぎだよ~』って否定されるのがオチだと思うけど……万が一、他の男を意識されても困る。
ホント、美雪がそう言うのに鈍感で、いいんだか悪いんだか……。

