ん?
美雪は急に何かを思い出したようで、もう冷めた筈のココアを一気飲みしてから、席を立った。
そして、自分のバッグから何かを取り出して、座ったままの俺に差し出した。
「涼。バレンタインのチョコ、食べてね?」
ああ、当初の予定に戻った訳か。
本来なら、バレンタインだからって家に来る予定だったんだ。
それが、美雪が朝一で僚二ん家に行った為に、ちょっと予想外の展開になっていたんだっけ。
今日は月一の男女混合練習日で、部活終了後に美雪は男女全員へ、手作りチョコクッキーを渡していた。
もちろん、俺にも。
つい、その時のみんなの反応を思い出してしまった。

