「沖野先生、おはようございます! 美雪、おはよう」 新井は俺達の所で止まらずに、そう挨拶しながら自転車で通り過ぎようとした。 「おはよう」 「おはよう……優子、私も行くから、待って! じゃぁ、沖野先生、また後で」 俺が挨拶するのに便乗して、美雪もそう挨拶をすると、そう言って新井の後を追って行った。 あっ、しまった……逃げられた。 俺は美雪の後ろ姿を見送りながら、さっきの表情を思い出していた。