「おい、何、シカトしてんだよ」 周りに人が居ないのを知っていた俺は、美雪と2人だけの時に話す口調でそう言った。 すると、美雪はビクッと反応して、足を止めた。 「あっ、沖野先生、おはようございます」 ああっ、もう、本当になんなんだよ! タオルで汗を拭くフリして顔を隠しても、そんな鼻声でわざと距離を置くように『沖野先生』なんて言ったって、騙されてやんねぇーぞ! 「おはよう。今日も走って来たのか?」 美雪が逃げないように、俺は素知らぬフリをしてそう言いながら、美雪に近付いた。