「いや、まぁ、本格的にではないけど……誰かさんが『もう少し、健康の事を考えたら?』って、うるさいから」



そう、きっかけは美雪の口癖。

美雪が家に来た時は吸わないようにしていたけど、居ない時に吸っている吸い殻を見ては美雪が心配そうにそう言うから。



「ほら、誰かさんと人生共に歩いて行く約束をしたから、俺が長生きしないと淋しい思いさせちゃうだろう?」

俺はそう言いながら、美雪にブレザーを差し出した。



「おまえを1人残して、俺は遠くへ行ったりしないよ」



傍に居る事が出来なかった僚二の分も、ずっとずっと俺がおまえの傍に居る。



なぁ、美雪。

だからおまえは、よそ見せず、ずっとずっと俺の事を見ていてくれよな?




≪涼編・Fin≫