「ちょっと、涼……学校なのに、近いよ、距離が」 動揺している美雪。 まぁ、確かに焦点が合うか合わないかギリギリの距離まで学校で顔を近付けたら、美雪が焦るのも当たり前か。 そう思う反面、『もしかしたら章弘の事が気になっているんじゃないか?』なんて、余計な言葉が頭をかすめた。 ああ、もう! 「さっき俺が声を掛けた時……遠くてよく見えなかったけど、おまえ、章弘に抱き締められてなかったか?」 俺は回りくどい言い方をせず、直球で美雪に問い掛けた。