これは、恋じゃない。(完)

 

私の心臓の鼓動はどんどん速くなる。


――ダメ、このままじゃ気付かれる。


日向くんのことを好きなこと…。


私は日向くんに握られていた手を振りほどこうとした。


「っ!」


でも、敵わない。


「教えて?…じゃないと、諦めもつかない」


諦め?


もしかして私の気持ちに気付いてて、諦めろってこと…?


私は首を横に振る。


やだ。


心の準備できてないままフラれるなんて…!


まだ、待って…


「…お願い…す、鈴ちゃんのとこに戻って。せっかく二人になれるんだよ…?」


ギリギリ引き出せた言葉だった。


「……さっきから鈴のことばっかり気にしてるよね。そんなに俺と鈴を二人にさせたい?」


「っ!」


だって…二人は付き合ってるんだから…。


「…そうするのが自然でしょ?だから、手を離して…」