二人の王子さま


「・・・一度城に戻りましょう。今の遊馬様は冷静ではないです。」


春が今にも崖から降りていきそうな遊馬に声をかける。

「・・・冷静で居られるか・・・帆香は他に行くところがないんだぞ。
それなのにこんなところから落ちて・・・」



「・・・申し訳ございません・・・」



頭を下げる春を見て、遊馬は溜め息を吐く。





「・・・仕方ない。一度城に戻り、父上に許可を貰う。」



「許可とは?」


馬にヒラリとまたがると、






「あちらの国まで探しに行く。その許可を。」


そう言って、馬を走らせた。