「まあ、ね」

確かにわたしの手元にペンは戻ってきた。

その事実は否定しない。

「ほらぁ。最初っから『魔女』を頼れば良かったじゃない」

「下手に機嫌を損ねると、後で大変な眼に合わせられるよ?」

このクラスメート達が本当にわたしのことを心配してくれているのは分かる。

「だけど、どうにも好きにはなれないのよねぇ」

わたしは階段を登りながら、渋い表情になった。

「別に彼女自身のことは嫌いではないんだけど…。注目のされ方は嫌いね。『魔女』と呼ばれて嬉しがるなんて、どうかしている」

「でもさあ、『魔女』になる前の彼女なんて、エアーも同然だったじゃん」

「そうそう。いっつも怪しい本ばっか読んでてさ。でもまさかそれが特技だったなんてね」

…占いはともかく、人を呪うのも特技のウチに入るのか。

最近の女子高校生の考え方は、本当に面白い。

「美夜はあんまり噂とか信じない方だろうけど、本当に気を付けた方が良いよ」

「うんうん。何かあってからじゃ遅いんだから、『魔女』のご機嫌取りはしといた方が安全だよ」