「あ、山崎じゃん。」


ば、ばれてしまった。
3年間、こいつの視界に入らないように過ごしてきた。
その努力は儚く散った気がした。


「ああ、森田…。」


返事はするが、目は見ない。
見たくない。気持ち悪い。気持ちわるい。


「俺ら、初めて話したよな?」


「うん…。」


早く逃げたい!帰りたい!てか、帰してくれ!!!頼みますから!!!!


「なあ、メアド交換しよ。」


は??こいつ何いってんの??
やだ。本当に気持ちわるい。なんだよまじ気持ち悪い。
信じられない。話したばっかの女子に普通連絡先聞くか?
頭沸いてんじゃないの!?


「ごめん、今携帯持ってない。」


「嘘つき。ほら。」


私のポケットからするりと携帯を取り出した。


「ちょ!何勝手に…。」


「はい、赤外線完了!あとでメールすんね!じゃ!」


にかっと爽やかな笑顔を見せて、去っていく森田。
と、森田と反するようにテンションの下がった自分。

…最悪だ。
よりによってこんなキモイやつに連絡先を知られてしまった。
ショックすぎて声もでない。

この日は一日落ち込んだ。