日が暮れてもう夜になった。 「いい景色だね」 「そうだな」 何も言わないあたしたち。 正也があたしの隣にそっと座った。 でも何も言わない。 ただ景色を眺めるだけ。 そろそろてっぺんだ。 「愛美」 「ん?」 正也の声に振り返ると、唇が重なった。 触れるだけの、ちょっと長いキス。 ゆっくり唇が離れる。 「観覧車に乗ったら、てっぺんでキスしないとな」 「正也って、意外とロマンチックなことするんだね」 「いいだろ」 ちょっとかわいいかも。 「今日のデートは、誰にも言うなよ」 「何で?」