遊園地に着いた頃には、精神的にヘトヘトになっていた。



夏休みということもあり、チケット売り場は長蛇の列で、20分ほどはかかりそうだった。



「ごめん、トイレ行ってきていい?」



沙良ちゃんは申し訳なさそうな顔をしつつ、私と光聖くんを残してトイレへと行ってしまった。



「あのさ、みゅーちゃんって好きな人いんの?」



2人きりになった瞬間、その質問をいきなりされて、なぜか分からないけど……ドキッとした。



そして……暁の顔が、浮かんだ。



暁の顔を頭の中から消すように、必死に頭を横に振ると、光聖くんに「大丈夫?」と心配された。



日に日に暁のことを考えている時間が長くなる自分がいて、それがすごく嫌だ。



るいさんという美人の彼女がいるのに……。



今まで誰かをこんなに深く考えることはなかった。

ましてや、男の人なんてありえない。