駅までの道中……。



前を向きながらそう言った暁に、私は心の中でたくさん謝って……そして、たくさん好きだよと言った。



……反対の立場で、他の女の人が暁のことを触ろうとしていたら、私だってきっと怒りに満ち溢れてどうにかなってしまうと思う。



暁を傷つけた。



それなのに暁は……私の不安をとりのぞくように、手を優しく握ってくれていた。



言葉ではなくても、伝わってきた。



暁の優しさが、暁の指先から伝わる……。



電車に乗ってからも、暁は私を気づかってくれた。



1時間の電車移動。



ここまで長い時間電車に乗るのは初めて。



タイミング席が空き、たまたま端だったため、暁はスマートに私を端に座らせ、自分はその隣に座った。



私の近くに男の人が来るたびに、なにをするわけでもないけど、繋ぐ手の力が少し強くなった気がした。



それだけで、私は大丈夫だと冷静になることができ、1時間の電車移動を無事に乗り切れた。