学校を出て歩き始めてから、10分が経った。



変に緊張してしまい、暁の後ろを歩いていた私は、暁が急に立ち止まったため、暁の背中に思い切り顔をぶつけた。



「ごめん……っ」

「俺も悪い」



これからなにをするのか、どこに行くのかとか、いろいろ考えていて前を向いて歩いてなかった。



そんな私が悪いのに、やっぱり暁は優しくて……。



大きな背中を見ながら、キュンとした。



……立ち止まったところには、今流行りの写真映えしそうなカフェ……とは正反対の、歴史が感じられる喫茶店があった。



カランカランと独特な音が鳴りながら開いたドア。



暁のあとに続き、中へ足を踏み入れた。



「いらっしゃい……って、おお、暁か」



入ってすぐのところにカウンターがあり、朱色の丸い椅子が並んでいる。



カウンターにいる白髪のおじさんは、暁を見るなり嬉しそうに微笑んだ。