「今日、心優のこと借りるわ」



頭の上に誰かに手を優しく置かれた。



声がする方を向くと……後ろには暁がいた。



え?私のことを借りる……?



「あー……なるほど、そういうことね。了解。しょうがないから今日は貸してあげる」

「サンキュ」



沙良ちゃんは暁とアイコンタクトをとってなにかを悟ったらしく、「じゃ、心優また明日ねー!」と教室から出て行ってしまった。



「ってことだから、今日は俺に付き合え」

「……う、うん」



頭の上に手を置かれていることが気になってしまって、とりあえずうなずいておいた。



暁に言われるがまま、私はついていくことにした。



暁とこうやって2人でどこかへ行くのって初めてかもしれない……。



もしかしてデート……?

そ、それとも、暁のことだから、喧嘩しにいくとか……?



男の子と2人で帰ること自体初めてだから、なにかを考えていないと変なことを言ってしまいそうだった……。