そんな慶喜くんに 私はすぐに引かれていった 慶喜くんといるときだけ いじめられていることを忘れられた 慶喜くんといるときだけ 太っていることを忘れられた 塾の帰り道 私と慶喜くんだけになった 長い沈黙を先に破ったのは 慶喜くんの方だった 「大倉さんは、 好きな人とかいるの?」 「えっ?」 そんなこと、今までの人生で 初めて聞かれた しかも、好きな人に...