あたしと王子とバカ

ガシッ!



「痛ッ!」



「あっ、すいません!」



ヒラヒラ降っていた手を急に掴まれる。


その力があまりにも強すぎて痛かった。


「あのッ!ケータイ教えて下さいッ!」



キュン!



可愛い顔の男の子にそんな風に言われてときめかないわけがない。



その真剣な表情で見つめられたらイチコロ。



しかし、残念ながらバカであろうと私には彼氏がいるわけで...



「今度今日のお礼させて下さいッ!」



...ガクッ!



何だ。



そういうことだよね。



こんな美少年が私みたいなおかん通り越してオヤジと言われるあたしなんかナンパするわけがない。



それならとメモとペンを用意しようと思ったが、あいにくそんな物は持っていないあたし。



ポーチから取り出したあぶら取り紙にアイブローでケータイの番号を手渡す。



「ありがとうございますッ!」



明らかに色気がなさ過ぎるそのメモに頭を下げる男の子。



何だか申し訳なってくる。