あたしと王子とバカ

えっ?



驚いて桃山選手の顔を見ると勢いよく会釈して走り去って行った。



何言ってるんだろ。



確かに大学時代はホームランバッターで有名だった。



しかし、プロに入ってからはまだホームランを打っていない。



ましてや宣言して打てるものでもない。



「で、梅澤さん見に行きます?」



「あっ、はい!行きます!」



私はスタッフさんとスタンド席まで向かった。



まぁ、大丈夫だよね。



結果は、



ヒットこそ1本打ったものの、ホームランは出なかった。



実はホームラン!?という当たりはあったけれど、ライトフライでホッとした。



「お疲れ様でした。」



携帯を開くが、彼からの連絡は一切なかった。



はぁ。



ため息が零れる。



私はタクシーに乗り込み、自宅の住所を告げた。