婦長が学生たちに自己紹介を促して 純に自己紹介をしている間も、私の視線は彼に注がれていた。 自己紹介の順番が来て 彼は薄い唇を開いて話し出す。 「仲野、翔[ナカノ カケル]です。」 聞き心地の良い、柔らかなテノールの声。 私が知ってる彰哉の声は、まだ声変わりもしていない幼い声だったけれど もし、声変わりをしていればこんな声だったんだろうな、と思う。