「よし。じゃぁ、問題解いてみな」

「了解です、斗真先生!全問正解のご褒美は斗真先生のポケットに入っているイチゴ味の飴でいいです!」

「なぜ知ってる…」

「斗真先生のことは全てお見通しなのです」



斗真は飴を絶対というほどポケットに入れている。


そして種類は毎日、一種類だけ。


色んな味だと味が変に感じるとか。


今日のお昼休みに斗真からイチゴの匂いがしたからわかった。



「ふーん。全てお見通し、ね。じゃぁ、俺が今何したいか分かりますか?恭奈ちゃん」

「え、えっと……」



わかるわけないじゃんっ!


超能力者じゃないんだし。


っていうか…何だろう。


どんどん斗真との顔の距離が近くなってる気がするんだけど。



「わかんない?」



少し冷たい何かが私のふくらはぎから太ももへと滑り上がってくる。



「とっ斗真っ…!!」

『ただいまー…誰か来てんのかー?』



玄関の方からお兄ちゃんの声が。


帰ってきたんだ。


斗真は溜め息をついた後、私から距離を取った。