桜星サンセット

一瞬にして教室が静かになった。

声の主はアンだった。

「なんだ?」

「私もともとこんな髪なんですけど」

両手でふわっと持ち上げながら言い、みんなにも見せるようにくるっと振り返った。

「ああ、そういう者は届出を出すように。親の印鑑もいるぞ。後でもらいに来い」

「はあい」

先生ではなくみんなに笑いかけてアンは座った。

「そっか。その手があるんだ」

「出すよねー?」

「出す、出す」

茶髪同士で話す声には仲間意識のようなものが生まれていた。

その後も細かくあれはだめ、これはだめの話は続いた。

私は髪も染めていないし、化粧もしたこと無いし、生活指導なんて一度も受けた事がないくらいだから問題無しだな。

何となく聞きながらもずっとアンの後姿を見ていた。