桜星サンセット

全員の視線が一斉に集まった。

先生さえもポカンとしていた。

完全に頭が真っ白になった私とは対照的にアンはゆっくりと教室に入っていく。

そんなアンの後ろに隠れるように進んだ。

先生の近くまで行くと、くるっとみんなの方を向いてアンは言った。

「すみません、迷ってしまって。遅くなりました」

お辞儀はせず、笑顔を添えて。

私はというと何も言えずぺこっと頭を下げるので精一杯だった。

超恥ずかしい。

恐る恐る先生とみんなの様子をうかがう。

みんなこっちを向いているが視線はアンだけに注がれていた。

ああ、そうか。

アンのかわいさにびっくりしているんだ。

うん、うん、分かるよ。

私もさっきそんな顔してたんだ。

「あ、ああ、じゃあ空いている席に座って」

慌てたように先生は言った。

声が上ずって、顔も少し赤くなっている。

先生、照れてる?おじさんのクセになんかかわいいなぁ。