桜星サンセット

私の手を掴んだまま校舎を出た。

「アン、手痛いよー」

「あ、ごめん」

アンはやっと手を離した。

「コウ、ダメだよ、あんな男。ちょっと顔が良くて頭が良いだけの男。自分の事そうとうイイ男だと思ってるんだから。つまんないヤツに引っかからないように気をつけてよ。
あーー、心配」

イライラ気味に一気に早口でしゃべった。

こんなアンはじめて見る。

まるで娘を心配するお父さんみたい・・・。

おかしくて笑ってしまった。

「何笑ってるの?」

その怒った顔にまた笑った。

「分かりました。気をつけます」

言いながらも笑いが止まらない。

「そう言えば生徒会長に誘われたって本当?」

なんとか話を変えた。

「誘われてないよ。話しただけ」

「それで?それで?」

「それだけよ」

「それだけって・・・。カッコ良かった?」

「そうねえ、顔は整ってるね」

そっけない答えだった。

「男の子に興味が無いわけじゃないよね?」

「当たり前よ。彼氏探しに来たって言ったじゃない。2人で最高の彼氏見つけようね!」

「うん」