桜星サンセット

そこにいたのはアンではなく、男子のクラス委員の土屋君だった。

なーんだ。

違った。

「そんなにがっかりしなくてもいいじゃん」

土屋君は笑いながら言った。

顔に出てた?それは確かに失礼かも。

「白井待ってるの?」

「うん!もう終わったんでしょ?」

「まあねー」

茶髪の髪をいじりながら笑顔のまま私を見ていた。

「確か青木さんだよね?オレと一緒に帰らない?」

「えっ?」

「なんで?オレ嫌?」

「そうじゃなくて・・・」

「じゃあ、いいじゃん。帰ろーー」

甘えるような声を出した。

「だから、アン待ってるのー」

「あいつ、青木さんとは帰らないと思うよ、多分。ううん、絶対」

「なんでよ?」

「生徒会長に誘われてた」

生徒会長って、舞ちゃんがカッコいいって言ってた人だ。

「でも・・・」

約束したし。

「邪魔しちゃダメだって。嬉しそうにしてたし」

「誰の事?」

土屋君の後ろにはアンが立っていた。

「ちょっとコウに変な事言わないでよ。おしゃべりな男は嫌われるよ」

土屋君をひと睨みしてから、私の手を取って急いで教室を出た。