桜星サンセット

これ、私・・・?

鏡に映った自分は今までに見た事のない自分。

自分でもかわいいかも?と思ってしまう。

真っ黒でまとまらなくて、雨の日なんてもう悲惨で、いっつも一つに結んでなるべく髪の事は考えないようにしていた。

そんな大嫌いな髪がたった2時間で、真っ直ぐでつやつやさらさらに変わった。

嫌だった黒もこの髪型にはぴったりくる。

そして、全身を鏡に映して分かる、バランスが良い。

顔が小さく見えて、体もすらっと細く見えている。

髪を変えただけで全部が違って見える。

「気に入った?」

アンのお母さんが鏡に入ってきた。

「はい!すっごく嬉しいです。ありがとうございます。おばさん」

「あーーーーー。もうーー」

急に大声を出して怒り始めた。

「おばさんはいや!!絶対ダメ。まりこさんって呼んで」

「はい、すみませんっ」

「まりこさん!!」

「はい、まりこさん」

「よーーし」

満足気に頷いた。

「ごめんね、コウ。ママめんどくさくて」

アンが小声で笑いながら言った。

まりこさんは確かにおばさんより、まりこさんの方がしっくりくる。

なんか面白い。

まりこさんは面白くって、すごい。