桜星サンセット

人にがんがんぶつかりながらやみくもに走った。

「コウ、ちょっと早いよーー」

「早く、アン、早く」

走って走って気がつくと人気の無い廊下にいた。

後ろからはまだバタバタと追いかけてくる音がしている。

「ここ、入ろっ」

急いで目の前のドアを開け中へと隠れた。

足音はどんどん大きくなり、そして遠ざかっていった。

「ああ、良かった」

「うん、行ったみたい」

そこは理科室の様だった。

がらんとしていて、文化祭のにぎやかな声も遠くに聞こえる。

「どうする?連絡も取れないし・・・」

でもアンをたかし君に会わせてあげたいから、帰るとは言えない。