桜星サンセット

加藤先輩はその後もご機嫌で鼻歌を歌いながら作業を続けた。

その鼻歌が次第に歌へと変わり、うるさいと言っていたみんなも1人2人と加わり、最終的に教室全体を巻き込んで大合唱となった。

その歌も今の歌じゃなくて、童謡とか小学校の音楽で習ったような歌ばっかりで、それが妙に楽しくて。

何年も歌ってないのに、意外に覚えてるもんだなぁ。

みんな楽しそうだ。

これが加藤先輩がみんなに好かれる訳なんだろう。

この瞬間が何日か後には思い出になってしまう。

その前に今思いっきり楽しもう。

遥さんの言葉を思い出す。

思いっきり楽しみたい。

歌う声にも手にも力がこもった。