成美の“助けて…!”の一言は、自身にも恐怖が襲った。 義理の兄貴が居た筈なのに、マンションから飛び出れば、元カレに引きずられて居た。 何が起きて居るかわからないまま、泣き叫ぶ成美を抱き締めた。 しかし、簡単に福智清太を殴る事も出来ず、背中と足を強打し、動けないようすのヤツに近付いた。 「…何で成美を苦しめる」 潔く離れる事が出来ないほど、惚れてたのかも知れない。 けど、良い大人の男が何故、あんな事をしなければならない。 俺にはこいつが理解する事が出来ない。 無論、するつもりもないが。