運良く青信号の横断歩道をひたすら走り、叫ぶ。



「すみません…っ!!」



夜空に木霊する声に、通りすがりの人たちをも振り返った。

それでも私は、気にする事なく、振り返った彼の前へ行き、止まった。



「どうしたの?そんなに急いで」



全力疾走して、息を切らした私を、彼女が心配してくれるも、彼しか目に入らない。



「お忘れ物です…っ」



両手でキーケースを差し出すと、「あぁ!」と、声を揃えた2人。

仲が良い証拠としてしか、思えなかった。

私には、どうにも出来ない恋。

諦めるしかない、恋だと思った。