LOVE OF DISTINY〜最低で構わないから〜【完】

袋詰めをしてると、「煙草の…」と言われ、体が勝手に什器へと手が伸びた。

取ったマルボロメンソールライトを見せると、彼は微笑みながら、頷いた。



「お前は?」



「私も欲しい」



「ごめん。バージニアSのライトも」



「……はいっ」



彼の煙草は覚えてた。

彼女の煙草を取る為に伸ばした腕が重い。

…私って、ダメだな…。

1人の人間としても、従業員としても。



「お返しの、63円です」



「ありがとう」



「「ありがとうございました」」



彼はレジが終わる度に、“ありがとう”を言ってくれる。