LOVE OF DISTINY〜最低で構わないから〜【完】

「行きましょう。話はまた、食事会で」



「そうしようか」



母親と黒岩さんは、我が子みたく、ベビーカーを押し、先へ行ってしまう。

成美から荷物を受け取り、手を引いて歩く。

回復の早かったのは、若さなのか、“母は強し”という言葉を表したのかは謎だが。

石畳の境内を歩きながら、成美が目覚めてくれた喜びを噛み締めた。

成美の腕の中で、初めて笑みを見せた子供たちも、そうだろう。

母親は、偉大だ。

海花だって、たまにしか会えなかった母親が、一番に好きだったし。

男って、こんな時に、少し寂しいな。