LOVE OF DISTINY〜最低で構わないから〜【完】

…今だけ…。

今だけは、我慢したい。

喪主である誠之介君が挨拶をする時、私も隣に立たないといけない。

でも、グシャグシャな顔では立てない。

深呼吸をし、最低限に涙を止めると、もう喪主の挨拶。

母親の遺影を持ち、腕に抱き締めると、誠之介君も歩ちゃんの額を手にした。



「本日は…父親、祖父母の為に、ありがとうございました。喪主を務めさせて頂きました、娘婿の稲垣誠之介でございます…」



誠之介君の言葉、手元が震えてる。

横顔を見上げれば、一筋の涙が溢れた。

歩ちゃんに吸い込まれるように。