LOVE OF DISTINY〜最低で構わないから〜【完】

「…お金を払えば、向こうは気が済むと思います。今、子供と芽を守れるのは、俺だけですよね」



「じゃあどうして、芽ちゃんに当たってるんですか?」



「芽が……俺を思うからです」



下川さんが目に涙を浮かべた。

それを隠そうと、目元を片手で押さえて、俺や車を背いた。



「恥ずかしながら…他に手段が見当たらないんです。俺は、日に日に芽に溺れてます。必要不可欠なんですよ…ッ゛…!」



嗚咽を交えた下川さんの叫び。

話が聞こえたのか、成美が車から降りて来る。

ーーバシンッ

乾いた音。

成美が下川さんの頬を叩いた音が、空高い駐車場に響いた。